我を忘れるくらいの演奏

いいことメガネ  2020年09月15日

平日更新の『いいことメガネ』。
火曜日のテーマは、「たのしかった話」です。


20代の頃、バンドをやっていたときの話です。

当時、友だちのバンドにサポートとして加わっていたのですが、僕の役割はiPadでした。
iPadのアプリでシンセサイザーの音を使い、曲にお化粧をしていくというものです。

普通のシンセサイザーと違うところは、iPadは指でディスプレイの鍵盤をタッチするという点です。
キーボードを押して音を出すというところまでは一緒なのですが、押したまま指をあっちこっちに動かすと、それに合わせて音が変化するのです。

音が切れることなく、音が変わっていくので、「ウゥーーーニョーォォォン!」みたいな、ファニーな音を表現することができます。僕はこれがとても気に入っていました。

あるライブの日。
その日は、恵比寿のクラブイベントでの演奏で、ライブハウスとはまた違った高揚感のある雰囲気に包まれて、ライブがスタートしました。

お客さんのノリもよく、いい感じのままライブが終盤に入りました。最後はアッパーな曲で、こちらも勢いがついたまま、曲のクライマックスを迎えました。
それぞれの楽器が激しく音を鳴らし、グワーーーっとした音像が広がる心地よさにつられて、僕のテンションは、これまでになくハチ切れ、iPadのディスプレイを指でこすりまくりました。

ギュギュグニューーウウゥーーーゥウウィイイーーーイーーッワワワワワワアアアォォォオオオオーーーーーーー!!!!!!

指が摩擦で火傷しそうになるくらいにこすりまくり、そして自分が出している音色の滑稽さが面白くてたまらず、僕はどんどん興奮していきました。

我を忘れる、ってこのことを言うのでしょう。もう、めちゃくちゃにたのしかったのです。
後からメンバーに「かっこよかった」と言ってもらえたくらいなので、相当夢中になっていたのだと思います。

音楽って、自分を解放してくれる良さがあるんですよね。
これは絵とか文章とか、アート活動全般に通じることだと思います。
アートに携わる時間を、日常的に持っていると、より自分らしく生きられるのかなと思っています。

おしまい

 

いいことメガネについて

日々の暮らしのなかにある「いいこと」探しのエッセイシリーズ。
曜日ごとにテーマを設け、お届けします。

月曜日:うれしかった話
火曜日:たのしかった話
水曜日:いやされた話
木曜日:ドキドキした話
金曜日:ワクワクした話

読んでいるだけで、あなたの生活も「いいこと」であふれていくかも。

 

 

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