『水木サンの幸福論』(水木しげる)
本屋百々 2021年02月02日
私はぼんやりした、
不真面目な兵隊だった。
緊張でピリピリしている同年兵の中では、
どうしても態度がでかく見られる。
風呂で将校と間違えられ、
古年兵に背中を流してもらったことがある。
まもなく新参の二等兵とばれて、
張り倒された。
『水木サンの幸福論』(水木しげる)p79より
店主のひとこと
戦時中の過酷な話のはずなのに、
クスッと笑えてしまうのは、
水木先生が「とても考えられないような」態度を
とっているからなのですが、
ひたすらに自分を貫き、
大切にする姿勢こそが、
水木先生の言う「幸福論」ではないでしょうか。
笑えるのに、切なくて、
憤りを感じて、悲しくもある。
喜怒哀楽がぎゅっと詰まったこの本は、
どこか「男はつらいよ」を感じます。
今回紹介した本
タイトル | 『水木サンの幸福論』 |
著者 | 水木しげる |
出版 | 2007年4月 |
発行年 | 角川文庫 |
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