本屋百々は、2019年12月から、
間借り本屋としてスタートしました。
この投稿(2021年1月)時点で、約1年が経っています。

2020年はコロナの影響もあり、
満足な活動が出来ていませんでしたが、
それでも間借り先のお店のご厚意もあり、
なんとか続けることができました。

1年の区切りとして、
ここに至るまでの経緯を振り返ってみたいと思います。

これは長い自己紹介でもありますし、
これから間借り本屋を始めてみたいという方にとって
何かすこしでも参考になれば、幸いです。

第2話
本棚と、本の調達。

開店にあたって最低限必要なものが、
本棚と販売する本でした。

本棚は、ブックエンドで簡易的に済ませるよりも、
木目の箱にしようと考えました。
雰囲気が出るのと、何よりも
「ここは本屋だよ」というある程度の主張が、
本棚自体になくてはならないと思ったからです。

お店に溶け込むことも大事ですが、
お店の一部だと思われてもいけません。
その微妙な加減を表すのに、
りんご箱がちょうど良さそうなことに気が付きます。

りんご箱は、ある程度大きさがあって、
頑丈で、ナチュラルだけど少しだけ異質。
マグネットさんに置いてあるところを想像しても、
悪くなさそうです。

ネットでもりんご箱は売っていましたが、
それなりに値段がしました。
なるべくお金はかけたくなかった僕は、
りんご箱を譲ってくれる八百屋さんを探すことにしました。

ある日、当時通っていた
コワーキングスペースに向かう道中で、
たまたま目の前にトラックが止まり、
りんご箱を搬入するところに出くわしました。

これはチャンスとばかりに、
少し遠く離れたところから配達員さんの後をつけ、
どのお店に搬入されるのか確かめました。

無事お店を確認したあともすぐには伺わず、
忙しい開店直後が過ぎた昼以降を見計らって、
再度伺うことにしました。

変な目で見られないかなと緊張しつつも、
そこは単刀直入に、
りんご箱を譲ってほしいと売り場の方に伝えたところ、
あっさりOKしてくれました。

お店の人は「内緒で」と言いつつ、
箱に入れて販売していたりんごを、
わざわざ他に移し替え、空の箱つくってくれました。
(のちほど、御礼に野菜を買って帰りました)

想像していたよりも簡単に手に入ったりんご箱は、
想像していたよりも重く、
えんやこら言いながら電車で自宅まで持って帰りました。

木箱はキレイに水拭きし、
お客さまが触っても怪我しないよう、
やすりを全面にかけたり、
養生テープで釘の部分を覆ったりしました。

一通り手入れを済ませたあと、
試しに本を入れてみると、
なかなか様になっています。
うん、これならいけそうです。

こうして、まずはめでたく
「本棚を用意する」をクリアしました。

つぎは、販売用の本の調達です。

新刊か古本か

販売する本は、最初から古本と決めていました。
新刊を仕入れるルートを知ってはいましたが、
次のようないくつかの理由で、今は時期ではないと思ったからです。

利益率

新刊は、仕入れの構造上、
どうしても利益率が固定されてしまいます。
高くても2〜3割といったところです。
それに、僕のような個人に対して
新刊の卸をしてくれるところは限られますので、
販売する本がかなり絞られてしまいます。

その点、古本にすれば、
値付けはある程度自由にできます。
状態がよいものを、安く見つけてこれば、
利幅も大きくなります。
要は、自分のフットワーク次第です。

「新品」を保つことは難しい

新刊は、文字通り新品という意味ですが、
新刊は置いた瞬間から古くなっていきますので、
できるだけ丁寧に管理しなくてはなりません。

ただ間借り本屋の場合、
自分の店に置くわけではありません。
間借り先のカフェのお客さんが、
読んでいた本にコーヒーをこぼしてしまう
なんてこともあり得ます。
そうした意味で、「キレイな状態」に
価値がある新刊はハードルが高い。

一方、古本であれば、
新しさ以外の価値が生まれます。
また、その本の価値の感じ方は、
手にとったお客さんによって様々にわかれます。
希少性、偶然性、新刊に比べて安いなどなど。
もし、本棚に置いている間に多少劣化したとしても、
最初から古本ですので、大きくは目立ちにくい利点もあります。

初期コストを抑えられる

最後に、ここが一番大きな理由でしたが、
古本であれば初期コストが抑えられます。
古本であれば、ネットや近隣の古本屋から仕入れやすいし、
金額も1冊数百円〜で安価に抑えられます。

また新刊ならば、全ての本に仕入れが必須になりますが、
古本であれば、自分の蔵書のなかから始められます。
多めに見ても数千円あれば、
本棚いっぱい分の本を並べられそうです。

これらの理由で古本一択で考えていた僕ですが、
販売するにあたっては、何かもうひと工夫が
必要だと感じていました。

いくら町に本屋がないとは言っても、
隣の駅に行けば、大きなブックオフはあるし、
ネットでだって安く買えます。

安さに限って言えば、町の図書館に行けば、
良書が無料でいくらでも読めます。

「本屋がない町に、本屋をつくった」と言えば、
聞こえは良いですが、それだけでは
僕の自己満足、自己陶酔の世界で
閉じたままになってしまう気もしました。

実際にお客さんになってもらうには、
お店としての魅力がなくてはならない。
かんたんに言えば、
「ここで本を買う理由」がなくてはならない。

…と言っても、それって何だ?

(つづく)


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