本屋百々は、2019年12月から、
間借り本屋としてスタートしました。
この投稿(2021年1月)時点で、約1年が経っています。

2020年はコロナの影響もあり、
満足な活動が出来ていませんでしたが、
それでも間借り先のお店のご厚意もあり、
なんとか続けることができました。

1年の区切りとして、
ここに至るまでの経緯を振り返ってみたいと思います。

これは長い自己紹介でもありますし、
これから間借り本屋を始めてみたいという方にとって
何かすこしでも参考になれば、幸いです。

第3話
「本屋百々のしおり」の誕生

『音楽は自由にする』坂本龍一

「この本屋で本を買う理由は何だ?」
と考えているうちに、その問いはいつしか、
「この本屋でお客さんに何を楽しんでもらうか?」
に変わっていきました。

僕だからできる、
お客さんに楽しんでもらえることって、
一体なんなのだろう。

パッとした答えがでないまま過ごしていたあるとき、
ふと、以前noteというブログサービスで、
ブックレビューを書いていたことを思い出しました。

レビューと言っても、僕は書評が苦手で、
とくに要約するのが苦手だったので、
本の中の気になった箇所を
ただ抜粋して並べただけの記事でした。
本を読みながら
マーカーを引っ張っておくような感覚だったので、
何の苦労もなくできていましたし、
自分としても備忘録がわりになって重宝していました。

僕は、この「抜粋」が転用できないか、
と考えたのです。

そもそも本の受け取り方は人それぞれだし、
書評というには気が引ける。
だけど、
僕はここが好きだよ、
心に残ったよという箇所を抜粋して
シェアすることならできそうだ。

どういう形がおもしろそうかな。
そうだ、「しおり」にしたらどうかな。
お気に入りの箇所を抜き出して、
それを短冊型のしおりに書く。

となると、しおりなので、裏面が出てくるぞ。
どうしよう。空白というのも勿体ないな。

たとえば、
なぜ、その箇所を抜粋したのかという
「僕の思い」を書いたらどうかな。
本にまつわるエピソードなんかでもいい。

友だちに本を勧めるように
自由に書いてみたどうだろう。
書評は要約はできないけれど、それならできそうだぞ。

こんな感じで、
ポンポンと頭の中で考えが転がっていくうちに
「本にしおりを添える」ことに着地しました。

自分にできることをやる

本屋百々の方向性が決まりました。

  • 店主が実際に読んで良かったと思った本のみを販売する
  • 本には特製のしおりを添え、店主お気に入りの一節と、本にまつわるエピソードを記す

この2つを話すと、
「こだわっていますね」と言われることがあります。
けれど、こだわっているとは自分で思っていません。

こだわったというよりも、
僕にもできることを探した結果、
たまたま行き着いたのがコレだったという感覚です。

もし僕が書評や要約が得意だったら、
迷わずにそうしていたと思います。
もし僕に資金があったら、
新刊をガッと入れたり、
珍しい本を置いていたと思います。
美術書専門店とかでも面白そうです。

でも、それらは僕にはないものであって、
やりたくてもできないことでした。

できないことを頑張ってやろうとするのではなく、
今の自分にできることを探す。
今の自分にできることのなかで、
一番お客さんに楽しんでもらえそうなことを探す。
それが大事なのだと思っています。

そして、それと同じくらい大事なのは、
それをやることで、自分が楽しめそうかどうかです。

いくら得意なことでも、
人から喜んでもらえそうなことでも、
自分が無理をしたり
頑張らないといけないようなことでは
きっと長続きしません。
最初は勢いで乗り切れたとしても、
どこかで折れてしまいます。

できるだけたくさんの人に、
できるだけたくさん楽しんでもらうためにも、
長く続けることを目指したい。
だからこそ、自分が楽しんでやれているかどうかを、
僕は大事な指標にしています。

(つづく)


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